手元に置かれた旅行雑誌。
旅行家が様々なリージョンを廻って書いたであろう手記と様々な写真。
和風の庭園の写真、青い湖の写真、ごちゃっとした町並みにネオンの光る写真。
そして、この魔法王国にそびえたつ荘厳で神々しい大聖堂の概観、その足元に広がる風光明媚な街。
だけど、僕はこの、自分の生まれた街すらろくすっぽ知らない。
Bird Cage
僕は黙ってページをめくった。
数えるほどしか見た事はないけれど、懐かしい街の風景が広がる。
ここが僕の生まれたリージョン。
『レンガ造りの重厚な町並み、静かで雰囲気のよい街。華やかさはないが落ち着ける』
旅行者の執筆したコメントを見て僕はフン、と鼻を鳴らした。
興ざめして、床に本をばさりと投げる。
そんなもの、この街にはない。
あるのは、血塗られた歴史と呪い、重苦しく圧し掛かる重圧。
学院という名の牢獄。
エリートという名の首輪。
籠に閉じ込められた鳥のように、どこへ行く事も許されない。
学院は街からもちょっとばかり隔離されている。
出来るのは窓の外を眺める事くらい。
窓を開けてこの檻からいつか出られる自分を夢想し、空想の旅に出るだけ。
別な檻に閉じ込められてる愛しい君もそんな風に考えているのかな、ねえブルー?
いつか君と共にこの檻を出られたら、って望むんだ。
「そんなに抜け出したかったら、望みどおりここから出してやろう。
けれど翼の枷を外す代わりにお前の足を切り落とす。
お前の止まれる木などどこにもないように、羽を休める場所など与えないために。
お前が安らぎを得る事が出来る時は、片割れの身体を手に入れたとき。
さあ、殺しあうがいい」
THAT'S ALL…?
魔術師たちに与えられた過酷な運命。
04/10/18
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