028:A Rape

 

それはある日、本当に偶然見つけた場所。

「うわぁー」

ジニーは歓声を上げた。

一面の菜の花畑である。黄色い絨毯を敷き詰めたように眼前に鮮やかな黄色が広がる。

このあたりの人が菜種油をとるために育てているのだろう。

ジニーは嬉しそうに菜の花の絨毯の中に入っていく。ロベルトは呆れ顔でジニーに声をかけた。

「ジニーちゃん、これ、人んちの畑だぜ〜?花潰すなよ!」

「わかってるって!そんな事しないよっ、花にだってアニマがあるんだもの」

うきうきしながら菜の花畑に入っていくジニーの背に「…おこさま」と呟いてみたが、彼女の耳には届かなかったらしい。

ロベルトは木陰に腰を下ろした。買ってきた食料品やツールなども木の陰に下ろす。

ジニーはまだ14歳、もう14歳…この世界ではこの年で大人扱いされる事も多いが、いくら背伸びをしてもジニーはやはり良くも悪くも子供っぽい。

そこが彼女の魅力でもあるのだが…

亜麻色の髪に黄色い花が良く映える。シルクのリボンで束ねた髪がふわふわ揺れて、まるで妖精のようだ。

そしてこの花の持つ言葉は「快活」。花言葉もジニーにぴったりだ。

空は晴れ渡ってどこまでも青い。今日外に出たのはたまたま買い物のためだったが、こういう日ならちょっとした寄り道も悪くない。

「あれ?ジニーちゃん?」

気がつくと、ジニーの姿が花畑から消えている。

ロベルトは慌てて立ち上がって周囲を見回した。

何もいないし、第一ちょっとしたモンスターが出た所でジニーはディガーの卵なのだし負けるわけが無い。

何かにさらわれたのか?こんな一瞬で?

ロベルトが微かに動揺していると花畑の中からくすくすと笑い声が響く。

その声はやがて大きくなってやがで少女の形を取って飛び出した。

「あはは、ロベルト、本気で心配した?ちょっと隠れてみただけだよ」

ジニーはぺろっと舌を出した。

ロベルトは苦笑いしつつ軽い溜息をついた。

「ったく…ほら、もー気ィ済んだだろ?早く帰らねーとプルミエールさんとか心配するぜ」

「はーい、もう行くよっ」

鼻の頭に黄色い粉を乗せてジニーはとことこと花畑の中から出てきた。

ロベルトは軽く彼女の鼻先をつまんで、その花粉を取ってやる。

突然の出来事にジニーは思わず抗議の声を上げた。

「うわっ、な、何すんのよー」

ロベルトはくっくと笑うと言った。

「鼻の頭に花粉乗っけて花畑で遊んでたお子様の世話を焼いてあげたんですよー」

わざと軽薄そうにそう言うとロベルトは荷物の入った紙袋を抱えた。

おこ様といわれた事に対してまだきーきーと抗議を続けるジニーに促す。

「ほら、もぉ行くぜ?」

ジニーは「すぐ子ども扱いして」などとぶつぶつ文句を言いながら後をついてくる。

「だって子供ジャン?」

ロベルトが笑いながらそう言うとジニーは一瞬下を向いて、何か思いついたようにぱっと顔をあげた。

「ね、子供なら手ぇ繋いで♪そうじゃないと危ないでしょ?」

「へっ?」

予想外の返答にロベルトは間抜けな声を上げた。

「手を繋げばあたしがいなくなる心配もないし、ロベルトも探さなくて済むから!2人っきりでお買い物来たんだもん、繋ご?」

そういって小さい手を差し出す。

「しょーがねえなぁ」

ロベルトはその差し出された小さな手をぎゅっと握った。

『やれやれ、こんなことでどぎまぎしてるなんて俺ロリコンなのか?』

内心そう思いつつも。

 

手を繋いで菜の花畑の道を歩きながら、2人はノースゲートの方へと歩みを進めていった。


ロベルトに片思いなジニーちゃんと時々ジニーちゃんのミリキにドッキリロベルトが理想。

04/01/08

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