015;A Neuron

 

「なぁ、今日オレと食事でもど…」

どごっ。

言いかけた途端に後頭部に鋭い一撃が入る。

痺れるような痛みが殴られたところから広がる。

「いっ…てぇ!!」

俺は頭を抱えてうずくまった。

頭上から受付のカワイ子ちゃんと…あとオレにパンチを加えた張本人、ドールが冷ややかな目で見下ろしてる。

オレはドールを見上げると言った。

内心は黒いぴったりなスパッツを履いた足のラインとか、デカイ胸を下から見上げるこのアングルも悪くないな〜なんて思いながら。

「いってえなあ!なにもグーでいきなり殴る事ないだろ!?オレの大事な脳細胞が死んだらどーすんだよ!!」

頭を叩かれると脆い神経細胞…脳内の情報伝達に使われるシナプスが切れるって聞いた事がある。

まだじんじん疼く頭は脳細胞がぷちぷち音を立ててリアルタイムで切れてるんじゃないかって気を起こさせる。

涙目で訴えるオレにドールは冷たく言い放った。

「あら、貴方の脳細胞まだ生きてたの?こんなとこで油売ってる暇あったら何とか生き残ってる細胞使って溜まってる始末書でも書いてくれないかしら?」

そう言うとさっさと行ってしまう。コツコツとヒールの音が響いてドールの後姿は廊下を曲がった。自分こそ何しに来たんだっつーの。

オレは気を取り直すと咳払いを一つして改めて受付のカワイ子ちゃんにアタックする。

「で、今日オレと食事…どうよ?」

「始末書、さっさと書いたほうが良いですよ」

カワイ子ちゃんはにっこりと笑顔で返す。

ちぇっ、今日もNGか。

受付嬢の熱い視線は何故かIRPOスーパーエリートのオレじゃなくてサイレンスの野郎に注がれてるんだよな。

あんなムッツリのどこが良いんだか。

まだ痛む後頭部を抑えながらデスクに向かう廊下でふと考えた。

『あれはやっぱヤキモチ…なんだよな?』

アイシィドールとコードネームがつくほどの女だ、面と向かって口には出さないけどありゃヤキモチなのか?

「じゃあドールをメシにでも誘ってみっかな〜…なんてな。いきなりンな事言い出したらあいつぁどんな顔するのかね」

やっぱりオレもなんだかんだいってドールに惚れてんのかもしれない。

やれやれ、自ら座布団になる道を選んだというか、オレも随分茨道を選んだもんだ。

でも、あいつの座布団ってのも悪くない人生かもしんない。そう思ってる時点で、オレ結構ヤバイかもな。

 

「やっぱり、今夜はドールをメシに誘おう」

 


初ヒューズドール。裏解のイメージのノリで。

03/11/26

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