「ルージュ?」

 

ごめんねアセルス、白薔薇 僕今だけ君らの仲間じゃなくなるね

ずっと昔 でも本当はほんの少し前の事

誰も知らない 僕らだけが知っている『昔』の話―――

 

「きっとお疲れなんですのよ」

「…じゃ、ゆっくり休ませてあげようか」

 

 

伸ばし始めた髪もまだ短くて肩をやっと過ぎたくらいだった

あれは僕らがいくつぐらいの時だったかな

 

 

細い雨が降る。

底から冷えるような雨の日。

ブルーは部屋に備え付けられた小さな暖炉に火を入れるとそばの椅子に腰掛けた。

温かいコーヒーの入ったカップを2つ、暖炉の上に置くと本を広げる。

雨と、細い薪が燃える音の他には何も聞こえない、静かな日だった。

窓ガラスにコツン、と何かが当たる音がした。はじめは気のせいかと思った。

2度、3度と音は繰り返される。何かと思ってブルーが振り返ると、窓ガラスに小石が当たっていた。

ブルーは黙って立ちあがると窓を開けた。冷たい風と一緒にほんの少し雨が吹き込んでくる。

「やあ」

窓の直ぐ側で銀髪の少年が傘もささずに立っていた。

ブルーは黙って窓を開け放したまま暖炉の側の椅子に戻った。

窓枠に手をかけ、ひょいとよじ登ると雨に濡れた銀髪の少年は窓から中に入ってきた。

ブルーは挨拶をかわすでもなくタオルを差し出す。

「そのままでは風邪を引く」

「ありがとう」

銀髪の少年は受けとって髪を拭きはじめた。

少年は暖炉の火に当たりながら口を開いた。

「久しぶりだね」

「…おかしな言葉だ」

金髪の方の少年、ブルーは皮肉げに笑った。

「本来は会う事などない身。王国の双子なのだからな…ルージュ」

「そうだね」

コーヒーカップを取るとブルーは口をつけた。

ルージュも暖炉の上のコーヒーカップに手を伸ばす。

「でもさ、君も今日僕が来る事分かってたんでしょ?こんな日でもないと来られないもんね」

身をやつすには絶好の天候。

ブルーはコーヒーカップを暖炉の上に戻すと再び読みかけの本を開いた。

「…物好きなものだ。来たってする事もないくせに」

「君に会いにくるんだもの、他に何かすることある?」

ルージュはカップを両手で包み込む。

椅子に腰掛けて本を読むブルーと、暖炉の側に座って冷えた身体を温めるルージュ。ゆったりとした時が流れる。

ルージュは物憂げに何か考えていたが急に立ち上がると言った。

「ねえブルー。僕は…君が好き」

ブルーは顔を上げた。一瞬目を丸くして何を言われたのかわかっていなかったようにも見えた。

そんなブルーの頬にルージュは軽く唇を落とした。反射的にブルーは腰を引き、頬を擦った。

「お前、自分が何を言ってるか分かってるか!?お、俺達は…!」

言いかけたブルーの口を、ルージュの冷たい指先が押さえる。

「僕達の『宿命』とか、『立場』とか…そういう事が聞きたいんじゃない。聞きたいのは、君自身の気持ちだけ…」

ルージュはそこまで言うとゆっくりと窓に向かい、窓枠に手をかけた。

「次に来るまでに、答えをよく考えておいて…答え次第では、僕は意味の前に2度と姿をあらわさない」

ルージュはそう言うとひらりと窓枠から飛び降り、雨の中を去って行った。

ブルーは椅子に腰掛けたまま深い溜め息をついた。

 

後日、君の口から聞いた答えは――――……

 

「あ、ルージュ起きた」

「アセルス…」

目に入ってくる光がまぶしくて、薄目を開けると目の前には緑髪の少女が立っていた。

「ねえ、おなかすかない?何か食べに行こうよ」

ルージュは髪をかきあげると答えた。

「そうだね…食べにいこうか」

「じゃあ、白薔薇も呼んでくるね!」

少女はパタパタと部屋を出て行った。

ルージュは窓の外を見た。細い雨がパラついている。あの日と同じ―――

 

「君が期待させるような事言うから…僕は今こんなにも苦しい思いをしてる」

ルージュは思い出すように目を閉じて微笑すると静かに部屋を出た。

 

今置かれた状況からは考えられない、それはまるで遠い昔話のような…幸せだった頃の話。

 

END


ちっとも昔話じゃない。(死)
ゾズマとヌサカーンとか、Xenoのゼファーとか7のザックスとエアリスとかギュスレスにしようかと思ったけど結局ルーブル。
…というのもゼファーは資料をアパートにおいてきてしまい(今実家にいる)ギュスレスは「とっておきのケーキ」で書いてしまい、
ゾズ&ヌサとザク&エアは話がどーも上手くまとまらなかったと言う…(笑)

少年…つっても14・5でしょうか。そのへんは適当に。
時間軸的にはBLUEROSEよりは前で場所は学院のブルーの部屋。
…ってことはブルーの答えは…(笑)

「好きだ」ってのは口に出すとペラい感じがします。(でも言わずに伝えるってのは無理です。)
だから「(好きだって)言えないほど大事」っていうのはなんか分る気がする。

 

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